HERTA MULLAR 




  2009年にノーベル文学賞を受賞したルーマニア出身の女性作家。
1953年にルーマニアで生まれた作者は、大学でドイツ文学とルーマニア文学を専攻し、チャウシェスクの独裁政権に反対して言論の自由を訴えるグループと交際を持つ。卒業後は機械工場で翻訳者として勤務するが、秘密警察への情報提供を拒否したことが原因で解雇される。その後は代用教員などの職に就いて執筆活動を始め、1982年に「澱み」という短編集を発表する。しかし、その思想を危険視する政府によって一切の出版活動が禁止されたため、1987年に夫とともに西ドイツに移住して執筆活動を続けけ、2009年にノーベル文学賞を受賞する。
 作者はドイツ語を母語としているため、作者の作品を読む場合は英訳された文章を読むことになるが、散文的な文章は文脈をとらえるのが難しく、それほどスラスラと読むことはできない。また、共産主義に対する強烈な批判が作品のベースになっているため、そうした思想的な部分でも読み手を選ぶ作品と言えるかもしれない。




TRAVELING ON ONE LEG  Translated by Michael Hulse and Philip Boehm 14/08/03 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公のアイリーンは、ポーランドからドイツに移住する直前に、10歳年下のフランツと知り合う。ドイツに移住してから、フランツの友人であるステファンと知り合い、さらにステファンの友人であるトーマスとも知り合う。この3人の男性とアイリーンとの関係を描きながら、終始グダグダな感じで物語が進んでいく。

 何が言いたいのかさっぱりわからなかった。小説というよりは散文詩の集まりのような感じで、ストーリーがあるのかどうかさえわからない。ノーベル賞作家の作品にはこういう難解な作品が多いけれど、自分のように頭の悪い人間にはまったく理解できない。頭のいい人だけ理解できればいいよ、というその高慢な態度が気に入らない。などと、自分の頭の悪さを棚に上げて逆切れしてみるテスト。



THE APPOINTMENT  Translated by Michael Hulse and Philip Boehm 14/07/21 更新

 読み易さ 
 面白さ   

洋服工場で働く主人公の女性は、何度も警察から呼び出されて取り調べを受けていた。その日も警察に出かけるために路面電車に乗り、離婚した前の夫のこと、駆け落ちしようとして警察に銃殺された同僚のこと、自分の同級生と浮気をしていた父親のこと、アルコールの問題を抱える現在の夫のことなど、さまざまなことに思いを巡らせていた。現在と過去の描写を交互に織り交ぜながら、取り調べを受けなければならない理由が明らかにされていく。

 独特の雰囲気を持つ作品ではあるけれど、ストーリーの展開があまりにもわかりにくくて、かなりのストレスを感じた。会話文も、引用符がないからだれのセリフなのかわかりづらいし、過去の回想についても時系列があいまいで、どういう順序で出来事が起きたのかよくわからない。この作品は、作者の母国であるルーマニアの共産主義を批判しているものらしいが、だったらもっとわかりやすく書く方法はいくらでもありそうなものだ。小説としては、かなり難解な部類に入ると思う。


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