BRAD MELTZER 




 リーガル・サスペンスを得意とするアメリカの作家。
 ニューヨーク市ブルックリン生まれの作者は、1996年にコロンビア・ロースクールを卒業。同校在学中にデビュー作である "THE TENTH JUSTICE"(邦題:最高裁調査官)が出版され、発売と同時に全米メディアの絶賛を浴び、たちまちのうちにベストセラーになる。このジャンルの作家としてはジョン・グリシャムがあまりにも有名だが、アメリカではグリシャムに劣らないくらいの高い評価を受けているらしい。まだまだ若い作者のこと、これからの活躍に大いに期待。
 文章のレベルとしては比較的やさしい。基本的な法律用語さえ押さえておけば、読み進めるのにさほど苦労はしないはず。




DEAD EVEN  04/12/10 更新

 読み易さ 
 面白さ   

検事補として再就職が決まったサラは、就任早々にある窃盗事件を担当することになる。しかし、その容疑者を弁護することになったのは夫であるジャレドだった。そのジャレドは事件の背後で糸を引く人物から「裁判に負ければサラを殺す」と脅迫を受ける。一方サラも「裁判に勝たなければジャレドを殺す」と謎の人物から脅迫を受ける。最愛のパートナーを守るため絶対に負けられない二人は、皮肉にも対立を深めていく。息詰まる裁判の行方は? そして事件の意外な真相とは?

 皮肉にも敵同士となった二人が、ストーリーが進むにつれてお互い疑心暗鬼になり、次第に衝突を繰り返すようになる描写は、なかなかにリアルで読ませる。そうそう、思わずこんな風に皮肉を言ったり悪態をついたりすることってあるよなあ、と妙に納得しながら読んだ。しかし、ストーリーの途中で設定されたいくつかの謎が未解決なまま放置されているのが気になった。
 それにしても、夫婦そろって法律家っていうのはどうかと思う。どちらもプライドが高くて、仕事のストレスを常に抱えているわけだから、どう考えてもうまくいきそうにない気がする。偏差値の高すぎる夫婦というのも考えものだと思う。



THE FIRST COUNSEL  04/06/26 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公は、ホワイトハウスに勤務する29歳の弁護士マイケル。大統領の長女ノラとパーティーで知り合ったマイケルは、ノラとデートに出かける。デートの途中で立ち寄ったゲイ・バーで、二人はマイケルの上司である大統領顧問弁護士のシモンの姿を見かける。興味に駆られてシモンを尾行する二人は、シモンが森の中に置いた40万ドルの紙幣を発見する。事の重大さに悩むマイケルは、上司であるキャロラインに相談を持ちかけるが、その直後にキャロラインが何者かに毒殺されるという事件が発生する。殺人事件の容疑者に仕立て上げられたマイケルは、周囲の人間すべてに不信感を抱きながら、無実の罪を晴らそうと奔走する。

 ストーリーの中盤はちょっともたつき気味だったが、ラスト100ページは一気に読ませる。ただ、ラストはあまりにもアクションが派手すぎて、こういうジャンルの作品としては少しどうかと思う。まるでアクション映画のクライマックスシーンのようだ。しかし、エピローグの部分は、ちょっとだけほのぼのとしてジーンとくる感じでなかなかいい。
 それにしても、よくぞここまでホワイトハウスのシステムを取材したものだと感心するくらい、細部にまで気を使って書いていることがわかる。こういう作品では、いくらプロットが優れていても、ディティールがいい加減に書かれていてはせっかくのプロットが台無しになってしまうから、そういう意味ではきっちりと書かれた作品だと思う。



THE TENTH JUSTICE  02/04/10 更新

 読み易さ 
 面白さ   

ロースクールを卒業して最高裁調査官の職に就いた主人公のベン。法曹界のエリートとしての将来を約束されたベンだったが、ある日リックと名乗る人物がベンに接触し、ベンは不注意にも最高裁の判決をリックに漏らしてしまう。その情報でインサイダー取引により莫大な利益をものにしたリック。リックにはめられたと気付いたベンは、ルームメイトの3人の親友と同僚の女性調査官の協力を得て、リックに対する反撃を開始する。しかし、常にベンの行動を先回りしてことごとく機先を制するリックに、自分の仲間の誰かがリックと共犯なのではと疑い始るベン。やがてお互いに疑心暗鬼に陥ってしまうベンと仲間達。予想もつかない頭脳戦の勝者は果たしてどちらに?

 全米メディア絶賛の本作だが、なるほど、さすがに面白い。二転、三転するストーリーの結末はまったく予想がつかず、最後の最後までハラハラしながら読んだ。しかし、これだけの作品を書いたのが、ロースクール在学中の若干20代の男子というのだから驚く。
 この作品では、主人公と友人達との軽妙な会話のやり取りが読みどころの一つらしいが、会話部分が苦手な自分としてはちょっと辛い。日本人にとって、アメリカンジョークを理解するのはかなり難しのではないだろうか。つまらないジョークがなければもっと面白く読めたと思う。



ペーパーバック一覧へ

TOP