DAVID HERBERT LAWRENCE 




 人間の性や恋愛をテーマにした作品で有名なイギリスの作家。
1885年にイギリスのノッティンガムシャーに生まれた作者は、炭鉱夫の父親と元教師の母親に育てられ、貧しい少年時代を送る。ノッティンガム大学を卒業後、小学校の教員として働きながら創作活動を始め、1911年に最初の小説となる「The White Peacock」を発表する。その後も、自伝的な小説である「Sons and Lovers」などを発表し、作家としての活動の幅を広げていく。私生活では、夫と子供を持つ女性と駆け落ちをしていくつもの国を転々とするなど、波乱に満ちた生活を送る。やがて結核にかかり、1930年に44歳という若さでこの世を去る。
 作者の書く文章は、語彙のレベルが高いこともさることながら、イギリスの田舎独特の方言がいたるところに出てくるため、難易度としてはかなり高い。なので、ペーパーバック初心者にはまったくお勧めしない。




WOMEN IN LOVE  12/05/13更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の主人公は、小学校教師のアーシュラと芸術家のグドランという姉妹。姉のアーシュラは、理論家で破滅的な思想を持つバーキンと親しくなり、妹のグドランは、バーキンの親友で社交家のジェラルドと親しくなる。2組のカップルは、お互いの思想や感情をぶつけ合い、ときには衝突しながら、次第にその関係を深めていく。

 激しくつまらなかった。とにかく、登場するキャラクターがすべて理屈っぽいところがいただけない。社会に出て、それなりに苦労した人間が言う理屈ならそれなりに説得力もあるが、裕福で容姿もよくて頭もいいという若い連中がふりかざす理屈なんて、まったく共感できない。そもそも、若い男女が人生や恋愛について議論を闘わせるなんて、なんだかウソくさい。それと、登場人物の感情がコロコロと変わるのも、読んでいて疲れる。さっきまでものすごくラブラブだったのに、ささいなことでいきなり憎しみを感じたり、さらには殺意まで抱いてしまうというのは、感情の起伏が激しいといった問題ではなくて、病院に行って診察してもらった方がいいレベルだと思う。
 とにかく、最初から最後まで、ひとりよがりな理屈と、理解しがたい感情の変化が延々と続くので、読んでいて疲れる。正直なところ、この作品は、小説としては完全に破綻していると思う。ロレンスほどのビッグネームでも、こんなクソみたいな小説を書くことがあるということだ。



SONS AND LOVERS  12/04/15更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の舞台は、イングランドの炭鉱町。豊かな家柄の娘であるガートルードは、炭鉱夫のモレルと恋に落ちて結婚する。最初こそ幸せな結婚生活を送るが、粗野で酒癖の悪いモレルに対してガートルードは次第に愛情を失っていき、4人目の子供が生まれたときには、夫婦仲はすっかり冷めていた。そんなガートルードは長男のウィリアムに愛情を注ぐが、家を出て自活を始めたウィリアムには恋人ができ、母親と息子の間には埋められない距離ができてしまう。いつかは自分のもとに帰ってくるものと信じてウィリアムを待つガートルードだったが、急病によってウィリアムが亡くなってしまう。悲しみに打ちひしがれるガートルードは、物静かで優しい次男のポールに愛情を注ぐようになるが、そのポールも、ミリアムという少女と恋に落ち、母親の存在をうとましく感じるようになる。

 これは、著者ロレンスの自伝的な作品らしい。どこまで正直に書いているのかはわからないが、この内容のとおりだとすれば、相当にマザコンで、相当に奥手な男子だったようだ。なにしろ、15歳くらいからミリアムと交際を始めていながら、20歳をいくつか過ぎるまで肉体関係を持たないのだ。健康な男子であれば、これは相当に異常なことだと思う。読んでいる途中で、「おいおい、コイツは大丈夫なのか」と、何度も心配になったくらいだ。しかし、ミリアムの次に付き合ったクララとはいきなりエッチなことをしているから、どうやら不能ということではないらしい。それにしても、こんなに若いのに、性欲よりも理屈の方が先に立ってしまう男子というのは、相当に嘘くさい。
 そんな感じで、主人公のポールの描写は嘘くさいが、父親であるモレルの描写は素晴らしい。酒癖が悪くて、金遣いが荒くて、乱暴で、家のことには無頓着で、でも奥さんには頭が上がらなくて、ときどきは家族に対する愛情も見せたりと、労働者階級の典型的な父親像を見事に描いている。作者自身の投影であるポールの描写は、美化されたり誇張されたりしている部分が多分にあると思うが、客観的な視点でとらえた父親の描写は見事だ。



LADY CHATTERLEY'S LOVER   12/03/17 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公のコニーは、貴族であるクリフォードと結婚するが、戦争に出征したクリフォードが負傷して車椅子での生活を余儀なくされてしまう。男性機能を失ってしまったクリフォードは、作家として活躍し、やがて炭鉱の経営にも乗り出すが、コニーの心は満たされないまま、二人の距離が広がっていく。そんなコニーは、チャタレイ家の使用人であるメラーズと知り合う。労働階級の人間でありながら、知的な雰囲気を漂わせるメラーズに惹かれ、コニーは激しい恋に落ちる。しかし、そんな二人には、お互いに結婚相手がいるという大きな障害があった。

 映画化もされて何かと話題を呼んだ「チャタレイ夫人の恋人」の原作。その過激な性描写により、日本での翻訳書出版にあたって最高裁まで争われたらしいが、いま読んでみると、過激というほどでもない。これよりも過激な性描写の小説なんていくらでもある。それよりも、メラーズの絶倫ぶりに驚いた。アラフォー男なのに、「続けて2回や3回は当たり前」というものすごさなのだ。 
 それはともかく、この二人には将来何が残るのだろうということを感じた。若いうちは、お互いの性欲で結びつくというのもありだとは思うが、年を取ったらいったい何が残るのだろう。物語は一応ハッピーエンドで終わるのだけれど、この二人の生活もハッピーエンドで終わるのろうかと考えると、かなり難しいような気がする。いくらメラーズが絶倫でも、死ぬまで絶倫な男子なんていないしね。



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