JON KRAKAUER 




 アメリカのノンフィクションライター。
 1954年にオレゴン州に生まれた作者は、父親の手ほどきを受けて8歳の頃から登山を始める。ハンプシャー大学を卒業した後も、大工や漁師といった仕事をしながら登山を続け、やがて様々な雑誌に登山関係の記事を書くフリージャーナリストとなる。1996年に取材のため参加したエベレスト登山隊が遭難事故に遭い、そのときの体験を記した "Into Thin Air" が TIME誌の "Book of the Year" に選ばれ、ノンフィクションライターとしての地位を確立する。
 この作者の書く作品は、ノンフィクションにもかかわらず自分の経験や主観を書きすぎるきらいがあるため、その点がノンフィクション作品としての傷になっていると思う。




INTO THE WILD  04/09/03 更新

 読み易さ 
 面白さ   

大学を卒業後、家族にも行き先を告げないままアラスカへとヒッチハイクで旅立った24歳の青年クリストファー。3ヶ月に及ぶサバイバル生活の末、クリスは飢えのために命を落としてしまう。なぜクリスは一人アラスカへ旅立ったのか、そしてどんな最期を迎えたのか、作者が緻密な取材を通して明らかにしていく。

 この主人公については、若さゆえの青臭さというか、自分勝手さが鼻について仕方ない。あまり言いたくはないが、自業自得だと思う。一応は大人だから、何をしたって自由と言えば自由かもしれないが、周囲の人間を悲しませるようなことをしたらダメだろう。世界平和を声高に叫びながら勇ましくどこかの戦場に乗り込んでいくのは、まさにこのクリス君みたいなタイプの人間なんだろうと、妙に納得した。とりあえず、自分はこういう熱い人間とはお友達になりたくない。



INTO THIN AIR  04/01/13 更新

 読み易さ 
 面白さ   

1996年5月に、取材のためエベレスト登山隊に参加したジャーナリストの著者が綴るノンフィクション作品。12名もの死者を出し、歴史的な大惨事となったこのエベレスト登山を直接に体験した著者が、その一部始終を生々しくかつ冷静に記した作品。経験豊富なベテランガイドに先導され、万全の体制で臨んだにも関わらず、なぜこの大惨事は起きてしまったのか。この事故は、はたして天災なのか、それとも人災なのか。

 自分は、こういった遭難を扱ったノンフィクション作品が大好きでよく読む。極限状態に置かれた人間を描いた作品というのは、どんなによくできたフィクションでも太刀打ちできないくらいの迫力がある。この作品も、エベレスト登山の過酷さがあますところなく描かれていて、本当に息苦しくなるくらいの迫力だ。
 それにしても、どうして人間という生き物は、こうも無謀な挑戦をしたがるのだろう。莫大な金を払って、それまでの仕事を投げ打って、大事な家族を置き去りにしてまでも、わざわざ自分の命を危険に晒すほどの価値がエベレストにはあるんだろうか。この作品を読む限りでは、名声を求める気持ちや自己顕示欲が招いた「人災」だという気がして仕方がない。



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