HENRY JAMES 




 "Daisy Miller""The Turn of the Screw" などの代表作で知られるアメリカの作家。
 1843年にニューヨークの裕福な家庭に生まれた作者は、幼い頃からヨーロッパの各国を訪れて見聞を広げる。19歳のときにハーバード大学に入学して法律を学ぶが、法律よりも文学を好む作者は大学を中退して作家を志す。1865年に初めての短編小説を発表してからは、パリやロンドンなど、ヨーロッパを拠点として執筆活動を続ける。ヨーロッパ的な古い価値観とアメリカ的な新しい価値観との対照を描いた作品が多いのも、このときの経験が基になっている。晩年にはイギリスに帰化し、1916年に72歳でこの世を去るまで多くの作品を残している。
 やたらとカンマで文章を短く区切るのが作者の特徴らしく、語彙のレベルの高さと相まってかなり読みにくい文章になっている。ペーパーバック初心者は避けたほうが無難。




THE EUROPEANS  11/05/28 更新

 読み易さ 
 面白さ   

ヨーロッパ各地を巡って生活を送るユージニアとフェリックス姉弟が、アメリカのニューイングランドに住む親戚のウェントワース家を訪ねるところから物語が始まる。ドイツの男爵夫人で気高い雰囲気を持つ姉のユージニアと、社交的で愛想のいい弟のフェリックスを、ウェントワース一家は暖かく迎え入れるが、ヨーロッパの自由な環境で暮らしてきた姉弟に、実直なウェントワース家の人々は次第に影響を受けるようになる。やがて、フェリックスはウェントワース家の次女であるガートルードと交際を始め、ユージニアもガートルードの従兄弟のアクトンと次第に親密になっていく。

 自由奔放なヨーロッパ人と実直なアメリカ人という構造が面白かった。普通の日本人の感覚からすると、ヨーロッパ人もアメリカ人もどちらも自由奔放なイメージがあるが、どうやらそうでもないらしい。まあ、このあたりは、ヨーロッパ人とアメリカ人の違いではなく、都会に住む人間と田舎に住む人間の違いといったほうが正確なのだろう。
 それにしても、ユージニアとフェリックス姉弟の図々しいことといったらない。いきなり初対面でヨーロッパから訪ねてくるのも失礼な話だし、そのままウェントワース家の離れに住み着いてしまうというのもすごい話だ。しかも、ユージニアもフェリックスも、まったく仕事をせずに遊んでばかりいる。いくら親戚でも、家賃くらいは払えよと言いたくなる。これだけ世話になっていながら、結局ユージニアは最後まで高飛車なままというのもすごい。良くも悪くも、ユージニアのキャラクターが立っている作品だ。



THE TURN OF THE SCREW  07/08/11 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公の若い女性が、8歳の妹と10歳の兄の家庭教師として旧家を訪れるところから物語が始まる。素直で可愛らしい兄妹とすぐに打ち解けて楽しい毎日を送る家庭教師は、ある日男性と女性の幽霊を目撃してしまう。幽霊の正体は先任の女性家庭教師とその恋人であることを知るが、兄妹の様子も幽霊の出現と同時におかしくなっていくことに気付く。兄妹が幽霊に支配されているのではと疑う家庭教師は、兄妹を助けようと幽霊に立ち向かう。

 文章が難しすぎて、さっぱり理解できなかった。おおまかなストーリー展開についていくのがやっとで、作品のテーマなんてまったくわからなかった。
 読み方によっては、この幽霊は家庭教師が自分の心の中で勝手に作り出したもの、という見方もできるわけで、そのあたりが作者のねらいなのかもしれない。つまり、本当に恐ろしいのは幽霊という存在ではなく、幽霊という存在を作り出してしまう人間の心そのものだということ。まあ、これは後から無理矢理ひねり出した感想で、読んでいる最中も読み終わった直後も、頭の中に残ったのは消化不良の英文の山だけだった。



DAISY MILLER  07/07/21 更新

 読み易さ 
 面白さ   

スイスに住むアメリカ人青年のウィンターボーンは、観光に訪れた若くて美しいアメリカ人女性のデイジーと知り合う。ヨーロッパ人にはない自由奔放さを持つデイジーに惹かれたウィンターボーンは、イタリアでの再会を約束していったん帰国する。しかし、約束通りにイタリアで再会したデイジーには、イタリア人男性の恋人がいた。その奔放さゆえに周囲からは白い目で見られるデイジーだったが、その奔放さこそがデイジーの魅力だと感じるウィンターボーンは、ますますデイジーに惹かれ、振り回されていく。

 一言で言うと、無神経でわがままな女子に振り回される男子のお話だ。あまり面白くない。なぜ面白くないのかと考えると、登場人物の誰にも魅力を感じないというのが大きな理由だろう。ウィンターボーンの自分に対する気持ちを知りながら、これ見よがしに他の男とイチャつくデイジーは論外としても、そんなデイジーのことを、「わがままや奔放なのではなく、ただ純粋で素直なのだ」とかばってしまうウィンターボーンも情けない。こんな女子はちやほやせずに放っておけばいいのだ。などと言いながら、美人には思い切り甘くなってしまうのが男というものだ。本当に男ってバカだと思う。



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