TOREY HAYDEN 




 教育心理学者としての自分の経験を描く、アメリカの女性作家。
 1951年にモンタナ州で生まれた作者は、ミネソタ大学で教育心理学を専攻し、知能障害や行動障害を持つ児童たちを実際の現場で教育するかたわら、その経験をノンフィクション作品として出版もしている。当事者として自身の経験を書いた著者の作品には、ノンフィクションならではの説得力がある。
 英文自体は比較的平易で読みやすい。とにかく興味深い内容で、先へ先へと読み進まされてしまうこと請け合い。こんな世界もあるのか、といった驚きがあって、著者の作品は読んで損はないと思う。かなりお勧め。




MURPHY'S BOY   04/10/08 更新

 読み易さ 
 面白さ   

養護施設で誰とも口をきかずに机の下に隠れて過ごす15歳の少年ケビン。そんなケビンの心を開かせようと、トリイは辛抱強くセラピーを続ける。幼い頃に義父から虐待を受け、その忌まわしい過去から立ち直ることができずにいるケビンに、トリイは優しく根気強く愛情を注いでいく。

 子供に対する作者の愛情の深さには、ただただ驚かされるばかり。自分だったら、こんな少年の相手なんて30分もできないだろう。どこをどうしたらこういう人間になれるのか、誰か教えてください。
 それにしても、幼い頃に受けた心の傷というのは、想像以上に深い傷になるということがわかった。こういう不幸な生い立ちをもった子供というのは本当に哀れだ。




GHOST GIRL

 読み易さ 
 面白さ   

ある自閉症の少女。普段の授業ではまったく口を開こうとしない少女は、放課後2人きりのときにだけ、トリイに心を開く。そうした会話から、少女が何かの性的虐待を受けているのではと感じるトリイ。少女を苦しめている本当の原因とは?

 読んでいて背筋が寒くなるような恐怖感を覚えた。幼い少女に対する性的虐待という問題は、この作品のようなアメリカ貧民層だけの問題ではなく、現在の日本においても起こり得ることなのだろう。いや、もしかしたら自分の知らないところで、日常茶飯事のごとく起きているのかもしれない。そう考えると、余計に怖くなる。



THE TIGER'S CHILD

 読み易さ 
 面白さ    えーい、おまけにもう一個! お勧め

前作"ONE CHILD"の続編。本作は7年後に再会したティーンのシーラとトリイとの物語。前作ではハッピーエンドで終わったが、やはり現実はそんなに綺麗なものではなく、またまたいくつもの衝突を繰り返すシーラとトリイ。幼児期のトラウマを引きずったまま思春期という難しい時期に突入したシーラに真正面から向き合うトリイ。自分の存在を確かめるために母親探しに出かけるシーラだが、そこに待っていたのはまたしても「絶望」の2文字だった。

 前作の "One Child" に続き、またしても感動してしまった。これほど夢中になって読んだペーパーバックは初めてだ。どうしても先が読みたくて、勤務中にトイレの個室に本を持ち込んで読んだり(よい子の皆は真似しちゃ駄目だぞ)、電車の中で読んでいる時には涙を抑えるのに苦労したりと、なにかと大変だった。
 ノンフィクションだけに、ラストは万人が納得するハッピーエンドで終わる、というわけではないが、それだけにリアリティがあり、決して感動が薄れるということはない。こうした本に出会うと、英語を勉強してよかったと心から思える。これから先、何冊こういう本に出会えるのか楽しみだ。とにかく百聞は一読に如かず。ぜひともご一読を。



ONE CHILD

 読み易さ 
 面白さ    えーい、おまけにもう一個! お勧め

近所の3歳の子供を木に縛り付けて火を付け、重傷を負わせた6歳の少女シーラ。矯正のため入院させられるはずのシーラは、ベッドが空いていないという理由でトリイの受け持つ障害児のクラスに入れらる。少女の凶暴さに手を焼き困惑するトリイ。しかし真摯に接するトリイに、シーラも次第に心を開いて行く。アルコールとドラッグに溺れ、刑務所に入出所を繰り返す父親。幼いシーラを捨てて夫の元から逃げ出した母親。深い心の傷を負うシーラ。しかし、こんな劣悪な環境で育った少女としては信じ難い180以上という IQ を持つシーラを、トリイはわが子に与えるような愛情で接する。

 とにかく読むべし。感動すること間違いなし。最近感動してないなあ、泣いてないなあ、というあなた。感動して下さい、泣いて下さい。



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