KNUT HAMSUN 




 1920年にノーベル文学賞を受賞したノルウェーの作家。
 1859年にノルウェーの農村で生まれた作者は、貧しい少年時代を送り、17歳から靴屋の弟子となって小説を書き始める。その後はアメリカにわたり、さまざまな職業に就く。1877年に最初の作品を自費出版し、1890年に長編小説「飢え」が商業誌に掲載され、その後は農業をしながら執筆生活を送る。1920年にノーベル文学賞を受賞するが、第二次大戦のときにナチスを支持したことを罪に問われ、戦後は警察に拘束されて精神病院に収監され、1952年に亡くなるまで不遇の晩年を送る。
 ノーベル賞作家でありながら、日本ではかなりマイナーな作家で、名前すら聞いたことがないという人がほとんだろう(自分もその一人だった)。そのため、大きな図書館以外では、作者の作品に出会うことはないかもしれない。とりあえず、作者の描く情緒不安定な主人公は面白いと思う。




HUNGER Translated by Sverre Lyngstad  14/07/06 更新

 読み易さ 
 面白さ    そこそこお勧め

主人公の男は、職にも就けず、その日の食べ物にも苦労するという極貧生活を送っていた。記事を書いて新聞社に持ちこみ、その記事が採用されればいくらかの金がもらえたが、その金も長くは続かず、やがて飢えに苦しむという繰り返しだった。しかし、そんな極貧生活を送りながらも、精神の高潔さだけは保ち続けようと努力する。

 一説によると、これは作者の自伝的な作品らしいが、たしかに、極貧生活を経験した本人でなければ書けないようなリアリティがある。それにしても、この主人公の情緒不安定さには笑った。せっかく手にした金を見ず知らずの人にあげたり、かと思えばいきなり逆切れしたりで、何がしたいのかわけがわからない。何日も食べていないのにいきなりステーキを食べたため、胃が受け付けずに嘔吐しまっくたり、飢えをしのぐために牛骨を手に入れ、骨に付いた生肉を食べようとして、あまりの生臭さにやっぱり嘔吐しまくったりと、とにかくやることが無茶苦茶で面白い。それで、精神的な高潔さは保たれているのかといえばまったくそんなことはなく、思わず卑屈になったり、かと思えば傲慢な態度をとったりで、結局はグダグダになってしまう。読みながら、もうちょっとうまくやれよと思うのだけれど、そういう不器用さというか無茶苦茶さが非常に面白い。



PAN  Translated by Sverre Lyngstad 13/04/21 更新

 読み易さ 
 面白さ   

ノルウェーの片田舎で狩りをしながら自給自足の生活を送る30歳のGlahnは、村に住むEdvardaという少女と知り合う。Glahnに対してEdvarda熱烈な愛情を表現し、二人はたちまちのうちに激しい恋に落ちる。しかし、気まぐれなEdvardaに振り回されることに疲れたGlahn は、Edvardaと距離を置き、鍛冶屋の娘と付き合うようになる。Edvardaに対して屈折した思いを抱えるGlahnは、やがて悲劇的な最期へと向かってゆく。

 この人はノーベル賞作家らしいが、日本ではマイナーな存在で、自分もこの本を読むまではこの作家のことはまったく知らなかった。それにしても、ノーベル賞作家という肩書のわりに、なんとも支離滅裂な作品だ。とにかく、主人公のGlahnが情緒不安定すぎる。Edvardaに少し素っ気なくされたくらいで、いきなり自分の足を銃で撃ちぬいたり、思いつきで山に爆弾をしかけて恋人を死なせてしまったり、飼い犬を殺してEdvardaに贈ったりと、精神病院で診てもらったほうがいいんじゃないの? と言いたくなるくらいの危なさだ。ただ、その危なさが突き抜けているので、逆に面白かった。ノーベル賞作家の書いた作品とは思えない支離滅裂さにちょっとだけ失笑した。



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