SUE GRAFTON 




 女性私立探偵キンジー・ミルホールを主人公とする「ABCシリーズ」でお馴染みの、アメリカの女性作家。
 1940年にケンタッキー州で生まれた作者は、大学で英文学を学び、この頃から小説を書き始める。2回の離婚歴を持ち3人の子供を抱えた脚本家時代の1982年に "A is for alibi" で作家デビューを果たす。この作品のプロットは、別れた前夫の殺害計画を数ヶ月に渡って練ったものが基になっているらしい。いやはや、なんとも恐ろしい。
 文章のレベルは、難しくもやさしくもなく、ごく平均的なレベル。作品のタイトルはデビュー作から順に、"A" "B" "C"... と続いてるが、絶対的に単語数の少ない "Q" とか "X" になったらどうするんだろう、と余計な心配をせずにはいられない。もしかしたら "Z" まで一巡したら引退するのだろうか、といったことまで心配になってくる。




N IS FOR NOOSE  03/10/01更新

 読み易さ 
 面白さ   

今回の依頼主は、夫を心臓発作で失ったセルマという未亡人。セルマは、生前に夫のトムが何かに思い悩んでいたことを気にかけ、その原因を調べてほしいとキンジーに依頼する。老刑事トムの足跡を追うキンジーは、やがてトムが2つの奇妙な殺人事件を追いかけていたことを突き止める。閉鎖的な小さな街で調査を進めるキンジーは、様々な妨害に遭いながらも、徐々に真相に迫っていく。

 はっきり言って、面白くない。あっと驚くようなミステリーもなければ、手に汗握るアクションもない。とにかく、ただひたすらに退屈。こういうシリーズ物は主人公のキャラクターで読ませる部分が大きいと思うが、自分にとってキンジー・ミルホールという女性はあまり魅力的なキャラクターではない。女性を主人公に据えたハードボイルドタッチの作品というのは、どうも好きになれない。



I IS FOR INNOCENT  02/11/29更新

 読み易さ 
 面白さ   

6年前に妻イザベラ殺害の容疑で起訴されながらも、無罪判決を受けたデビット。その判決に憤慨するイザベラの元夫のケネスは、民事裁判でデビットを起訴すべく、私立探偵のモーレーに調査を依頼する。しかし、モーレーが突然の心臓発作で亡くなったために、調査の継続依頼がキンジーのもとに舞い込む。調査を進めるうちに、デビットは無実かもしれないと感じ始めるキンジーは、やがてモーレーの死にも疑問を抱きはじめる。事件の背後に潜む複雑な人間関係を解き明かそうとするキンジーを待ちうける危機。はたして真犯人は?

 下にも書いたが、この作者は、建物の外観や内装のディテールをやたらと細かく描写するのが特徴らしい。自分にとっては、これがかなり退屈というか苦痛に感じる。ミステリー作品ということを考えれば、メインのストーリーに直接関係ない描写はなるべく省いてほしい。読むほうとしても、退屈な描写はなるべく少ないほうがありがたい。



B IS FOR BURGLAR  01/11/06更新

 読み易さ 
 面白さ   

ある日行方がわからなくなった妹エレインの捜索をキンジーに依頼に来たのは、ビバリーと名乗る女性。家出人捜索という仕事にあまり気乗りのしないキンジーだったが、調査を進めて行くうちに、エレインの失踪の数日前にエレインの隣に住んでいた女性が強盗殺人に遭い、自宅を放火されたことを知る。エレインの失踪とこの事件とに何か関連があるのでは、と睨んだキンジーだったが、調査を進めていくうちに様々な謎に行き当たる。はたしてキンジーは無事にエレインの行方をつき止めることができるのか?

 本作のトリックはミステリー作品としてはありふれたものだが、ラストまで充分に読ませる展開でそれなりに楽しく読むことができた。少し気になったのが、建物の外観や内装の様子、家具についての描写がかなり細かいということ。このあたりの描写は女性作家ならではのものなのか、それともハードボイルドを意識しているためだろうか。こういった細かい情景描写が苦手な自分としては、読んでいてちょっと苦痛だった。



A IS FOR ALIBI  01/11/01更新

 読み易さ 
 面白さ   

ある日主人公キンジーの元に訪れたニッキ。夫ローレンスを毒殺した容疑で8年間の刑期を服役したニッキは冤罪を主張し、キンジーに真犯人の捜査を依頼する。ニッキの無実を確信したキンジーはその依頼を引き受け、調査を開始する。離婚調停を生業としていた弁護士ローレンス殺害の数日前に、ローレンスと関係のあったエリザベスも同じ手口で殺害されたことを掴んだキンジーは、2人の交友関係を調査の起点にすえる。調査の途中で、事件のカギを握ると思われる女性が殺害され、窮地に陥るキンジー。複雑に絡み合った事件の行方は?

 主人公のキンジー・ミルホールは、32歳の離婚歴のある元警官の独身女性という設定。作者の記念すべきデビュー作だが、あまりにもラストが強引すぎる。何一つ物的証拠はないにも関わらず無理矢理に犯人を特定してしまうというのは、あまりにも強引すぎはしないだろうか。プロット自体はよく出来ているので、ミステリー作品としては平均点以上の出来だと思う。



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