DICK FRANCIS 




 競馬ミステリーという特異な分野を得意とする(うまいね、どうも)、イギリスのベストセラー作家。
 イギリス・ウエールズで乗馬一族に生まれ、28歳でプロの障害競馬の騎手になり、33歳で全英チャンピオンジョッキーになった作者は、37歳で競馬界を引退後、競馬関係の記者をしながら42歳で作家デビューを果たす。著者の作品はすべて競馬を題材としたものだが、特別に競馬に関する知識がなくとも読むのに支障はない。
 文章のレベルとしては特別にやさしくも難しくもなく、ごく平均的なレベル。1冊のボリュームとしては300頁程度なので、比較的気軽に読むことができるはず。




BANKER  02/10/19更新

 読み易さ 
 面白さ   

銀行員の主人公ティムは、厩舎を経営するオリバーから融資の相談を持ちかけられます。実力ナンバーワンの競走馬を種馬として買いたいというオリバーの話を聞き、融資を快諾するティム。しかし、種付けをした雌馬から産まれた子馬は、その半分以上が畸形だった。悲嘆に暮れるオリバーを、一人娘のジニーが何者かに厩舎内で殺害されるという更なる悲劇が襲う。事件の背後に、不思議な力で競走馬の病気を治す「ヒーラー」のコールダーが関わっているのでは、と考えたティムは、オリバーの生活と自身が勤める銀行の利益を守るため、単身調査に乗り出す。

 とにかく前半部分があまりにも退屈。最初の殺人事件が起こるのが100頁を過ぎたあたりで、本格的にストーリーが動き出すのが200頁を越えたあたりと、ミステリー作品としてはあまりにも展開が遅い。ラストはそれなりに面白かっただけに、前半部分の退屈さが余計に気になった。



COME TO GRIEF  01/04/26更新

 読み易さ 
 面白さ   

レース中の事故で左手を失ってしまった、元チャンピオンジョッキーの主人公シド・ハリー。競馬界引退後私立探偵を営むシドに、連続して競走馬の脚が切り取られるという奇怪な事件の依頼が舞い込む。事件を追跡していくうちに、親友のエリス・クイントの影が事件の背後に潜んでいることに気付くシド。シドと同じく元騎手で、引退後はテレビで活躍する国民的スターのエリスを告発したことにより、シドはマスコミの攻撃にさらされ窮地に陥る。世論の逆風を真っ向に受けながら事件を追跡するシド。はたして事件の真相は?

 主人公のシド・ハリーは、著者の作品の中でも最も人気のあるキャラクターらしい。どんな逆境にも屈することのない主人公には、自分もこんな人間になりたいと素直に感情移入できる。強固な意志を持っている反面、情にもろい面もあるところなど、まさに日本人好みのキャラクター設定だと思う。



COMEBACK  01/04/15更新

 読み易さ 
 面白さ   

生まれ故郷のイギリス勤務を命じられた外交官の主人公ピーター。友人の紹介でクラブ歌手の老夫婦と知り合い、ひょんなことから娘の結婚式のために渡英する夫婦とイギリスまで同行することになった。娘の婚約者のケンは優秀な獣医だが、ケンが執刀した競走馬が次々に怪死するという事件が起き、ケンの獣医としての評判は地に堕ちてしまう。不可解な競走馬の死の裏には保険金詐欺が潜んでいるのでは、と感じたピーターは、ケンの名誉回復のため事件解決に乗り出す。

 この作品には医学用語や保険に関する用語が頻出するため、多少読み辛いかもしれない。肝心の謎解きの部分もぼかした感じで書いてあり、少しばかり消化不良を感じる。



STRAIGHT  01/04/15更新

 読み易さ 
 面白さ   

障害競馬のジョッキーである主人公のデレク。レース中に足首を痛めてしまったデレクのもとに、19歳年上の兄が事故に遭ったという報せが入る。兄のグレビルの死を看取ったデレクは、兄の経営する宝石卸の会社を引き継ぐことに。悲しみも癒えない間に、路上で強盗に遭い、オフィスを荒らされ、家に侵入され、果ては命を狙われと、次々に災難に遭遇するデレク。グレビルが生前に会社のスタッフにも極秘でダイヤモンドの取引を進めていたことを掴んだデレクは、兄の残した会社を救うため、そして自分の命を救うために、所在の不明な100個のダイヤの行方を追跡する。

 初めて読んだ著者の作品だが、競馬のけの字も知らない自分でも楽しく読むことができた。それにしても、いきなり未知の分野の会社を引き継ぐことになったら、自分ならどうするだろう? と思わず考えさせられた。自分には会社を運営するだけの才覚はないから、きっと弁護士を雇って一から十まで会社の整理をお願いすることになるのだろう。なんともつまらない人生だ。



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