FREDERICK FORSYTH 




 スパイ小説を得意とするイギリスの作家。
 1938年にアシュフォードに生まれた作者は、19歳のときに英国空軍に入隊して史上最年少のパイロットになるが、その後すぐにジャーナリストに転身する。ロイター通信やBBC放送のジャーナリトとして世界中を取材して回り、1971年に発表された "The Day of the Jackal" で作家としてデビューを果たす。緻密な取材に基づいたリアルな作風が、作者の書く作品の大きな特徴となっている。
 語彙のレベルとしては比較的高く、あまり読みやすいとは言えない。登場人物が多いのも作者の作品の特徴らしく、少し油断すると誰が誰なのかわからなくなる。また、旧ソ連や東欧系の人名はどう発音すればいいのかすらわからない場合が多いので、さらにやっかい。心して読むべし。




THE PHANTOM OF MANHATTAN  03/04/23更新

 読み易さ 
 面白さ   

「オペラ座の怪人」の後日談とでも言うべき作品。舞台は12年後のニューヨーク。パリを離れたエリックは、たちまちのうちにニューヨークを影で支配する大富豪に上り詰める。マンハッタンに世界最大のオペラハウスを建設したエリックは、そのこけら落としにパリからクリスティーヌを呼び寄せた。12年前とはまったく違った状況で再会した二人の運命は?

 フォーサイス氏としては異色の作品だと思うが、はっきり言ってつまらない。ストーリーに直接関係ないことをダラダラと書きすぎで、読んでいて眠くなる。肝心のストーリーもつまらないし、ラストも期待を裏切るしょぼいオチ。フレデリック・フォーサイスの名前に釣られて読むと、間違いなく後悔すると思う。



THE NEGOTIATOR  00/10/12更新

 読み易さ 
 面白さ   

冷戦終結を目前にした1991年。アメリカ大統領の一人息子が誘拐されるという事件がイギリスで発生する。誘拐「交渉人」として人質救出を依頼されたクインは、米国、英国当局の介入を嫌い、単独で人質救出に臨む。救出成功に思えたその瞬間、目前で人質を爆殺されたクインは、女性FBI 職員とコンビを組み、犯人を追跡する。単なる身代金目的と思われた誘拐事件の背後には、冷戦終結により経済的打撃を蒙るアメリカ産業界の5人の大物実業家が糸を引く、想像を絶する陰謀が隠されていた。

 英国のサッチャー首相やソ連のゴルバチョフ書記長などが作中に登場し、リアリティ溢れる作品になっている。
 誘拐事件といえば、日本では警察の仕事というのが常識だが、欧米では、本作のように専門の交渉人が警察と協力して事件解決にあたることがあるようだ。実際、何でも保険商品にしてしまう世界最大の保険会社「ロイズ」には、誘拐交渉人を集めた一つのセクションがあるらしい。
 この作品も相変わらず登場人物が多いが、自分の借りた本には巻頭に主要登場人物が記載されていたため、多少は楽に読むことができた。とは言っても、50人くらいの人名が並んでいるため、確認作業も楽ではない。できれば、もう少し登場人物を減らしてもらいたい。



THE DEVIL'S ALTERNATIVE

 読み易さ 
 面白さ   

冷戦真っ只中の1982年。農薬の製造ミスによりソ連の小麦が壊滅的な打撃を受けるという情報を極秘裏に掴んだアメリカは、小麦の供給と引き換えにソ連側に大幅な軍縮を求める。戦争を主張する強硬派と現職書記長率いる穏健派とが危ういバランスを保つソ連を、KGBトップの暗殺という大事件が襲う。ソ連に深い恨みを持つテロリスト集団はさらに航空機をハイジャックし、世界最大級の大型タンカーをハイジャックする。各国の思惑が複雑に交錯する中、一人の英国工作員から提案された解決策は「悪魔の選択」と呼ばれる作戦だった。

 この作品はもちろんフィクションだが、状況設定が非常に詳細に描かれていて、作り話と一言で片付けられないようなリアリティがある。1980年代と言えば自分は10代の頃だったが、この頃は核戦争の脅威なんてこれっぽっちも感じていなかった。しかし、当時は核戦争の可能性がかなりあったらしく、いまさらながら背筋が寒くなる。
 ストーリー展開としては、最初から頻繁に場面が変わるために読み辛いが、ラストは手に汗握る展開で一気に読ませる。ラストのオチも悪くないと思う。



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