ARTHUR CONAN DOYLE 




 言わずと知れた「シャーロック・ホームズ」の生みの親であるイギリスの作家。
 1859年にスコットランドのエジンバラで生まれた作者は、エジンバラ大学で医学を学んだのち眼科医として開業し、病院経営のかたわら小説の執筆を始める。1887年にホームズが初登場する "A Study in Scarlet" (邦題:緋色の研究) が出版され、その後雑誌でホームズシリーズが連載されるようになるとたちまち人気を博し、そのまま専業作家へと転身する。ホームズシリーズ以外に歴史小説なども手がけ、晩年にはオカルトの世界に傾倒したことでも有名。
 19世紀に書かれたイギリス英語ということで、かなり難解な文章を想像するかもしれないが、実際は特に難解というほどでもない。ただし、ホームズの台詞はかなりもったいぶった言い方なので、そのあたりは多少読みづらいかもしれない。




THE MEMOIRS OF SHERLOCK HOLMES  15/02/01更新

 読み易さ 
 面白さ   

ホームズが死んでしまう衝撃の問題作「The Filnal Problem」を含む12編が収められた短編集。

 ホームズ・シリーズ第2の短編集ということで、どの作品も比較的にちゃんとした推理小説になっている。この頃は、まだアイデアが豊富にあったということだろう。一定のクオリティを保ちながら月刊誌で連載していたわけだから、やっぱりすごいことだと思う。
 しかし、「The Final Problem」については、推理小説の体をなしていない。ただ単にホームズを死なせて連載を終わらせたい一心で、強引に作ったものなのだろう。毎月新しいトリックを考え出して連載を続けるというのは、きっと想像以上に過酷な作業だったに違いない。そんな作り手側の苦労を考えながら読むと、違った面白さが発見できるかもしれない。



THE SIGN OF FOUR  11/11/13更新

 読み易さ 
 面白さ   

無聊をかこつホームズを、メアリー・モースタンという女性が訪れる。10年前に父親が失踪し、それから毎年1回正体不明の人物から真珠が送られてくるようになり、さらにメアリーとの面会を求める手紙が届いたという。ホームズとワトソンがメアリーに同行して、手紙の差出人であるショルトー氏に会いに行く。ショルトー氏の父親とメアリーの父親は、インドの戦場で共に軍務に就いた戦友であり、ひょんなことから莫大な財宝を手にしたのだという。しかし、ショルトー氏の父親が財宝を独り占めしたため、正当な受取人であるメアリーを不憫に思ったショルトー氏が毎年真珠を送っていることを明かした。そして、双子の兄を説得してメアリーに財宝の半分を譲ることを決めたのだが、双子の兄は何者かに殺害され、財宝も消えていた。ホームズとワトソンは、犯人を追って捜査を始める。

 「緋色の研究」に続くホームズ・シリーズの第2作で、4つある長編作品の1つということになるらしい。冒頭からいきなりコカインを射つホームズが登場して、なかなかに刺激的だ。また、ワトソンとメアリーの恋物語も事件の捜査と同時に進行して、そちらのほうも面白い。
 この作品は、推理小説というよりも、犯人を追いかけるホームズとワトソンの冒険小説といった方が正確だろう。根拠がよくわからない強引な推理と、危険な捜査にワトソンを巻き込む自分勝手さはいつものとおりで、この作品でその後のホームズとワトソンのキャラクターが固まったということだろう。そいういう意味で、ホームズファンにとっては必読の一冊と言えそうだ。



HIS LAST BOW  11/05/07更新

 読み易さ 
 面白さ   

表題作の「His Last Bow」を含む8編が収められた、ホームズ・シリーズ第4の短編集。

 この短編集もドイル氏の作家生活の終盤になって書かれたものであるため、もはや推理小説の体をなしていない。ホームズの見事な推理で解決する事件なんて一つもなくて、すべてホームズとワトソンの冒険譚になっている。ホームズシリーズの代表作はすべて初期の作品であることを考えると、この頃にはすでにネタ枯れの状態だったのだろう。
 それでも、相変わらず強引なホームズの行動は読んでいて楽しいし、そんなホームズに従順に従うワトソンもいじらしくて素敵だ。このシリーズは、純粋な推理小説としてではなく、ホームズとワトソンの掛け合い漫才みたいなものだと思って読めば、それなりに楽しめると思う。



THE CASE-BOOK OF SHERLOCK HOLMES  11/04/23更新

 読み易さ 
 面白さ   

相変わらずの強引さで事件を解決していくホームズの活躍が12編収められた、ホームズ・シリーズ最後の短編集。

 これがホームズ・シリーズ最後の短編集らしいが、その強引さは相変わらずだ。というか、むしろさらに強引さが増しているような気がする。これは推理小説ではなくて、単純にホームズとワトソンが登場して掛け合いをするだけの小説だろ? と言いたくなるようなものもいくつかある。おそらく、どの作品もほとんどネタ枯れの状況で書いたのだろう。
 そんな中でも、「
The Adventure of the Three Garridebs」は面白かった。いや、推理小説としては面白くもなんともないが、犯人に拳銃で撃たれてケガをしたワトソンをホームズが本気で心配するシーンがあって、ここだけが面白かった。ワトソンもそんなホームズに感激して、いままで尽くしてきた甲斐があったと喜んだりして、そっち方面のファンにはたまらない展開だ。また、ワトソンが語り手となるいつものパターンではなく、ホームズ自身が語り手となる作品も2編あって、そういった意味でも楽しめるかもしれない。



THE VALLEY OF FEAR  05/12/28更新

 読み易さ 
 面白さ   

ホームズが謎の暗号文を受け取るところから物語が始まる。解読した暗号文には、ダグラスという人物に危険が迫っていることが記されていた。現場に到着すると、ダグラスはすでに殺害された後だった。しかし、現場の状態に疑問を抱いたホームズは調査を開始し、ダグラスがまだ生存していることを突き止める。なぜ殺害されたように装ったのかを尋ねるホームズに対し、20年前のアメリカでの出来事を語りだすダグラス。恐ろしい犯罪集団が支配する「恐怖の谷」と呼ばれる場所で何が起きたのか、そしてダグラスの意外な過去とは。

 この作品は2部構成になっていて、第1部はホームズが活躍するいつもの推理小説、第2部はダグラスが活躍する冒険小説、といった構成になっている。
 ということで、ホームズの活躍を期待して読むとその期待を裏切られるかもしれない。しかし、ダグラスが活躍する第2部がそこそこ面白いので、読んで損したという気分にはならないと思う。かくいう自分も、ラストのオチにはすっかりだまされた。ホームズ物にしては中途半端な作品だと感じるか、それとも一粒で二度美味しい作品だと感じるかはその人次第。




THE RETURN OF SHERLOCK HOLMES  05/12/17更新

 読み易さ 
 面白さ   

一度は死んだと思われたホームズが、実は生きていた。ホームズ生還後の活躍を描いた13編の短編集。

 一度は死の淵を覗いたホームズだが、その強引さは相変わらずだった。やはり、人間の性格というのは死ぬまで変わらないものらしい。
 それはともかく、
"Charles Augustus Milerton" が面白かった。ワトソンとホームズが一緒に犯人宅へ忍び込むときには、ホームズがワトソンの手を握って暗がりの中を進んだり、カーテンの裏に二人で隠れているときには、ホームズがワトソンの手首を強く握って無言のメッセージを送ったりと、日頃のワトソンの切ない思いがようやく報われた感じの展開に思わず胸が熱くなった。ワトソン博士の末永い幸せをお祈りします。



THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMES  05/10/11更新

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 面白さ   

「赤毛同盟」、「まだらの紐」、「唇のねじれた男」などの代表作を収めた、12編の短編からからなる作品集。

 とりあえずトリックはどうでもよくて、どの作品もホームズのキャラクターが立っている。おそらくシャーロキアンにはたまらないはず。自分としては、ホームズの得意技である、依頼人の服装や持ち物からその人の仕事や特徴を言い当てるシーンが面白かった。一番面白かったのが、帽子からその人の特徴を推理するシーンだ。
 ホームズ:「この帽子の持ち主はインテリに違いない」 ワトソン:「どうして?」 ホームズ:「サイズが大きいからさ。きっと脳味噌も詰まっていることだろう」 ワトソン:「なるほど」
 推理小説で笑わせてどうする(笑)。しかし、こういう強引さこそがホームズの一番の魅力なのだろう。



THE HOUND OF THE BASKERVILLES  05/07/28更新

 読み易さ 
 面白さ   

その昔、バスカービル家の主が魔犬に惨殺されたことから、バスカービル家には魔犬の伝説が代々伝わる。その伝説を裏付けるようにバスカービル家の主たちは次々と奇妙な死を遂げ、現在の当主であるチャールズも死体で発見される。バスカービル家を継ぐためにやってきたのは甥のヘンリー。この事件に興味を持ったホームズは、ワトソン博士にヘンリーの警護を任せ、事件の捜査に乗り出す。

 4編あるホームズ物の長編の中では、おそらく最も有名な「バスカービルの魔犬」。
 これは推理小説としてではなく、ホームズとワトソンの恋愛物語として読むべき作品だと思う。いや、ワトソンのホームズに対する切ないまでの片思い小説、とでも言うべきか。ホームズからひどい仕打ちを受けながらも、ホームズに全幅の信頼を置くワトソン博士があまりにもいじらしい。ホームズに対する一途な愛を感じずにはいられない。
 それにしても、ワトソンのみならず、依頼人をおとりにしてまでも犯人を捕まえようとするホームズは、あまりにも強引すぎる。こんなことばっかりしてたら、そのうちに後ろから刺されると思う。



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