FYODOR DOSTOYEVSKY 




 説明不要のロシアの文豪。
 1821年にモスクワで生まれた作者は、アルコール依存症の父の元で幼少期を過ごしたのち、陸軍の工業学校に入学する。この頃から戯曲などの創作活動を始め、1846年に「貧しき人々」で作家としてデビューする。1849年には、反体制的な思想団体に参加したことを理由に逮捕されて死刑判決を受けるが、恩赦によって流刑地での4年間の強制労働に減刑される。服役後の1858年に発表された「罪と罰」で高い評価を獲得し、晩年には自身の集大成となる「カラマーゾフの兄弟」を発表する。この作品を発表したわずか数ヵ月後に、肺気腫とてんかんの発作による合併症のため、60年の生涯を終える。
 当然ながら原文はロシア語で書かれているため、その文章の難易度を直接評価することはできないが、英訳を読む限りでは非常に難解な文章だと感じる。内容も抽象的で作品のボリューム自体も大きいため、それなりの覚悟で読まないと挫折するかもしれない。




THE BROTHERS KARAMAZOV   10/06/06 更新

 読み易さ 
 面白さ   

強欲な成り上がり者のフョードルには、ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人の息子がいた。放蕩で乱暴な長男のミーチャは前妻との息子で、皮肉屋で無神論者の次男のイワンと、純粋で敬虔な三男のアリョーシャは後妻との間にできた息子たちだった。そんな父親のフョードルと長男のミーチャとの間で、財産と女性を巡って諍いが発生する。妖艶なグルーシェンカを父親と争うミーチャは、財産を巡るトラブルもあり、父親に深い恨みを抱くようになる。そんなある日のこと、父親が何者かに殺害されて大金が盗まれるという事件が発生する。その現場から血まみれになって逃げ出した姿が目撃されたミーチャは、殺人の容疑で逮捕されて裁判にかけられる。アリョーシャとグルーシェンカはミーチャの無実の訴えを信じるが、イワンはミーチャの犯行を疑わない。そして、ついに運命の評決が下される。

 ドストエフスキーの代表作にして世界最高峰の文学作品とも評される「カラマーゾフの兄弟」だが、あまりにも長すぎて、読んでいる途中で嫌になった。きわめて評価の高い小説らしいが、この作品のいったいどこが面白いのだろうか。
 読んでいて最初に気になったのが、登場人物の名前がすべて2通りあるということ。たとえば、長男のミーチャの正式名(なのかどうかは知らんが)はドミートリだし、三男のアリョーシャはアレクセイだし、ヒロインのグルーシェンカはアグラフェーナといった具合だ。2つの名前を使い分けて読み手を混乱させるその意図がわからない。また、各キャラクターのセリフが長くて芝居がかっているのも、読んでいてイライラする。古い小説にはこうしたわざとらしいセリフ回しが多いが、決して読みやすいものではない。さらに、メインのストーリーと関係のないサブストーリーが多すぎて、読んでいて混乱する。
 ということで、自分の頭が悪いことを棚に上げて言わせてもらえれば、無駄に長いだけでさっぱり面白くなかった。裁判シーン大好き人間の自分としては、検察側と弁護側が対決する最後のシーンだけはほんの少しだけ楽しめたが、そのほかは苦痛でしかなかった。(もっと詳しい感想はこちら



NOTES FROM UNDERGROUND   10/02/27 更新

 読み易さ 
 面白さ    

世間に背を向けて自分の殻に閉じこもり、周囲の人間を心の中で罵倒しながら生活をする40歳の男が、自分の屈折した考え方やこれまでの出来事などを一人称で語るお話。
 
  最初の3分の1で自分の考え方をうだうだと語り、残りの3分の2で若い頃の出来事を回想するという構成になっているが、この最初の部分がものすごく退屈。というか、抽象的で観念的なことばかり書いてあるので、さっぱり理解できなかった。その分、残りの回想部分は面白い。とにかく、この主人公の屈折ぶりが見事だ。周囲の人間を平気で罵倒しておきながら、すぐに後悔して許しを求める卑屈さも素敵だ。正直なところ、ドストエフスキーが何を書きたかったのかなどさっぱりわからないが、この男の屈折ぶりを読むだけでも十分に楽しめる。
 見ず知らずの紳士に勝手に敵愾心を燃やし、道ですれ違うときに道を譲らずに肩を軽く触れることで、「よし、勝った!」と心の中で叫ぶ。しかも、たったこれだけのことをするために、わざわざ知人に借金をしてまで身なりを整えるのだ。誰もが抱えているコンプレックスを針小棒大に書くところが面白い。最初の独白部分はすべて無視して回想部分だけを読んでも、十分に楽しめる。



ペーパーバック一覧へ

TOP