TOM CLANCY 




 ハイテク軍事小説を得意とするアメリカの作家。
 デビュー作の "The Hunt for Red Octorber"(邦題:レッドオクトーバーを追え)で一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たした著者の作品の最大の特徴は、様々な軍事設備の緻密かつ詳細な描写にある。とにかく作者の膨大な知識には圧倒されるばかり。これだけの知識を有する著者の前歴は、意外にも保険代理業を営んでいて、兵役の経験すらないという、いわゆる完全な「軍事オタク」らしい。
 実際の国際社会を舞台としたジャンルの作家としては、イギリスのフレデリック・フォーサイスと双璧を成す存在。登場人物の多さや、難易度の高い語彙もフォーサイス氏といい勝負だが、軍事関係のハイテク機器の難解かつ詳細な描写の分、フォーサイス氏の作品よりさらに難易度は高いかもしれない。それにしても、アメリカ生まれの著者が、イギリス式のスペルで書いているのはどうしてだろう?




POLITIKA  04/03/13 更新

 読み易さ 
 面白さ   

1999年10月、ロシアのエリツイン大統領が急死するところから物語は始まる。小麦の不作と経済政策の失敗により飢餓の危機にさらされるロシア政府は、アメリカに支援を求める。その一方、2000年のカウントダウンを目前に控えたニューヨーク・タイムズスクエアで爆弾テロが発生する。この事件の解明に乗り出したのは、アメリカ大企業の経営者ロジャー・ゴーディアン。彼の率いる特殊部隊 "Sword" はテロリストを追い詰めていきながら、背後で糸を引くロシア政府要人の黒幕の存在をつかむ。はたしてその黒幕は誰なのか、そしてテロの目的とは?

 この作品は Martin Greenberg との共作で、ゴーディアンを主人公とする"PowerPlays"シリーズの一作らしい。
 バリバリ軍事オタクのクランシーらしく、要所要所で武器やハイテク機器などのウンチクが語られるが、この部分は一切無視して読んでも充分にストーリーを追うことはできる。それにしても、いくら大富豪とは言え、民間人がこんなに派手に動き回ってもいいのだろうか。相手がテロリストとはいえ、さすがに殺したらマズイような気がする。



THE HUNT FOR RED OCTOBER  00/12/11 更新

 読み易さ 
 面白さ   

軍事演習のため出航した、ソ連の誇る最新鋭かつ最大級原潜のレッドオクトーバー。しかし、指示された海域には現れず、NATO海域に侵入するレッドオクトーバー。その意図はアメリカへの亡命にあると見抜いたジャック・ライアン。ライアンからの提言を受けたアメリカ政府はこの超大型原潜を米国のものにしようと、極秘裏にプロジェクトを展開する。一方ソ連はレッドオクトーバーのアメリカ亡命を阻止すべく、国内の艦隊・潜水艦を総動員して、レッドオクトーバーを発見次第撃沈するよう指示する。NATO海域において一触即発の危険な状態に陥る米ソ。百戦錬磨の艦長ラミウスが指揮するレッドオクトーバーの運命は?

 完成までに9年という長き歳月を要した著者の記念すべきデビュー作らしいが、そのあまりの難しさに泣いた。
 登場人物が多いのはもちろんのこと、この作品の最大の読みどころである、原潜に関する詳細な描写がまったくくと言っていいほど理解できない。自分の原潜に関する知識は、かなり昔にちょっとだけ読んだ「沈黙の艦隊」という漫画で得たものがすべてなので、満足に読めるはずがない。なんとか楽しめたのはラスト50頁だけという悲惨さ。途中で何度も挫けそうになった。原潜や軍事好きな人に限ってお勧めの作品。



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