PEARL S. BUCK 




 中国の大地で逞しく生きる人々を描く、アメリカの女流作家。
 1897年にアメリカのウエストバージニア州に生まれた著者は、生後五ヶ月で中国に渡り、17歳でアメリカに帰国するまでの間を中国で過ごす。1930年に作家デビューし、その翌年に出版された「The Good Earth」(邦題:大地)でピューリッツアー賞を受賞。その後数々の作品を発表し、1938年に、アメリカ女性作家としては初めてとなるノーベル文学賞を受賞する。
 独特の語順で綴られる文章には多少ストレスを感じるかもしれないが、なんと言ってもノーベル文学賞作家、話のネタにとりあえず一度は読んでおきたいもの。




THE EXILE  03/08/09 更新

 読み易さ 
 面白さ   

新天地を求めてオランダからアメリカへと移住した両親のもとで育った主人公のキャリー。開拓民としての厳しい生活を強いられながら成人したキャリーは、宣教師のアンドリューと結婚し、キリストの教えを布教するため中国に渡る。異国の地でさまざまな困難に遭いながらも、妻として母親として、そしてアメリカ人として、決して自分を見失うことなく逞しく生きて行くキャリーの物語。

 著者の母親をモデルとしたドキュメンタリー、とでも言うべき作品。
 まず思ったのは、アンドリューの人間性に問題があるということだ。家族に愛情を注ぐことなく、布教活動にのみ没頭するのは、いくら聖職者といってもおかしいだろう。 自分の家族すら愛せない人間が宣教師という聖職に就いたらイカン。まあ、この作品はノンフィクション的な要素が強いから、それはそれでいいとしても、読んでいて終始気になったのが、一人称で書かれているにも関わらず、著者自身であるべきコンフォートという女性を三人称で書いていること。この書き方だと、一人余分に子供がいることになってしまい、明らかにおかしい。どういう意図があってこういう書き方をしたのか、理解に苦しむ。



THE THREE DAUGHTERS OF MADAME LIANG  03/05/10 更新

 読み易さ 
 面白さ   

舞台は第二次大戦後、共産党による革命に揺れる中国。MADAME LIANG は若くして中国共産党の革命に参加するが、やがてその間違いに気付き、幼い3人の娘をアメリカに留学させる。医学の道を選んだ長女、音楽家の次女、画家を目指す三女。母親の願いとは裏腹に中国に戻ってきた長女と次女は、共産党の革命に対する意見の衝突から対立を深めて行く。革命によって引き起こされた不安定な世情に、自らの責任を痛感するMADAME LIANGを悲劇が襲う。

 作者としては、中国共産党の政策の過ちを描きたかったんだろうけど、党の上層部の視点で描かれているので、庶民の苦しみを実感することができず、結局は何が書きたかったのかよくわからなかった。
 ただ、「結局は、右翼思想も左翼思想も同じように徹底した情報管理をするものだ」ということだけは理解できた。右翼と左翼は対極に位置するという考え方は間違いで、実はどちらも円周上の一点に位置するものなのかもしれない。180度違う思想に見えても、極右・極左に走れば、360度ぐるりとまわって、同じ点で行き会うものなのかもしれない。



THE MOTHER  03/03/11 更新

 読み易さ 
 面白さ   

中国の貧しい村に住む母親とその家族の物語。

 こういう「貧乏」をテーマにした作品は、とかく「清く貧しく美しく」という嘘っぽい展開になりがちが、この作品に限ってはそんなことはない。人間の強さと同時に、醜さもしっかりと描かれている。親子や兄弟の間の確執が淡々としたタッチで描かれていて、大いに共感できる。貧しいがために、肉親に対する愛情と憎悪の感情がより増幅されるということだろう。
 著者の作品は会話文が素晴らしい。剥き出しの感情をそのまま文字にした不器用な台詞には、読む人の胸を強く打つ迫力がある。このあたりの感じは、翻訳を通してでは決して味わうことのできないものだと思う。それにしてもこのストーリーには救いがない。最後の1頁でわずかに救われた思いがしたが、あまりにも切ない。母は強し、されど哀し。



THE GOOD EARTH  02/10/02 更新

 読み易さ 
 面白さ   

貧しい農家の息子として生まれた Wang Lung は、庄屋に売られた奴隷の O-lan と結婚し、わずかな土地を耕して懸命に働く。やがて子宝に恵まれ、収穫も順調に増えてきた Wang一家を干ばつが襲う。南の町に逃げて何とか餓死の危機をまぬがれた Wang は、「土地を耕してこそ生きる術がある」と決意し、故郷に戻る。過酷な農作業を続けて富を築き、地元の名士にまで成り上がった Wang だが、それまでの貧しい生活とは違った、富を持つ人間だからこそ直面する苦悩が Wang を襲う。

 三世代に渡る Wang 一族の盛衰を描いた3部作の第1部。
 ノーベル文学賞作家と聞くと、えらく高尚な内容でわかりにくいストーリーなのではないかと心配するが、まったくそんなことはなく、わかりやすいストーリー展開ですんなりと入っていける。特に難しいことを考える必要もなく、ストーリーの流れに沿ってそのまま読んでいけばオッケー。


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