RAY BRADBURY 




 ファンタジー作品や幻想的な作品で有名なアメリカの作家。
 1920年にイリノイ州に生まれた作者は、幼い頃からファンタジー小説や冒険小説を好んで読み、高校生の頃には作家になることを決意する。経済的な事情で大学に進学できなかった作者は、新聞販売の仕事をしながら、空いた時間には図書館に通って作家になるための勉強を続ける。やがて新聞販売の仕事を辞め、専業作家への道を踏み出す。1947年に処女作となる「Dark Carnival」を出版し、1950年に発表した「The Martian Chronicles」で作家としての地位を確立する。晩年に至るまで、さまざまな長編や短編を執筆し、2012年に91歳で亡くなる。
 詩人としての評価も高い作者の作品は、詩的で抒情的な文章が大きな魅力になっているらしいが、つまりは説明不足な文章ということになるわけで、ストーリーを追うには少しばかり大変だ。




THE HALLOWEEN TREE   16/07/24 更新

 読み易さ 
 面白さ   

ハロウィーンの夕方に、トムをはじめとする8人の少年たちが仮装姿で集合するが、リーダーであるピプキンの姿が見当たらない。ピプキンの家に迎えに行くと、ピプキンは具合の悪そうな様子で待ち合わせ場所を告げ、後から合流すると言う。待ち合わせ場所に着いたトムたちは、マウンドシュラウドと名乗る不思議な力を持つ男に出会い、その能力に魅了される。しかし、遅れてやってきたピプキンがトムたちの目の前で何者かに連れ去られてしまう。ピプキンを救出するべく、少年たちはマウンドシュラウドとともに闇の世界へと旅立つ。最初に訪れたのは、4千年前の古代エジプトだった。

 これは子供向けのファンタジー作品だが、子供向けということを差し引いても少しも面白くない。場面がめまぐるしく変わり、いちいち派手なアクションが展開されるけれど、「ピプキンを助けるためにピプキンを追いかける」というだけのストーリーなので、いくら派手なアクションが展開されたところで、さっぱり面白くない。もっとストーリーを単純にして絵本にでもしたら、小さな子供は喜ぶかもしれない。



THE MARTIAN CHRONICLES   16/06/26 更新

 読み易さ 
 面白さ   

アメリカは、1999年に最初の火星探査ロケットを打ち上げ、火星への着陸に成功するが、不幸な事故や事件により、第一次探検隊から第三次探検隊までのすべてにおいて乗組員全員が死亡してしまう。しかし、地球から持ち込んだウィルスが原因で、火星人もそのほとんどが絶滅してしまう。やがて、多くの人間が地球から火星へ移住し、火星を地球と同じように開発していく。しかし、地球で核戦争が勃発したため、ほとんどの人が地球に戻り、西暦2026年の火星は荒廃した街だけが残る星になってしまう。

 1999年から2026年までの時代を、26の独立した短編をつないで1つの作品に仕上げている。各短編は、その多くが完全に独立した内容になっているが、前の短編とつながっているものもあり、最初から順に読んでいかないと作品全体を理解できないような構成になっている。
 第二次探検隊のエピソードは、最初はふざけたギャグ調の展開だと思っていたら、かなりブラックなオチが用意されていて、そのギャップに少しばかり戸惑った。純粋なSF作品というよりも、全体的に現代の文明批判というテーマが流れていて、そのあたりがちょっと鼻につく。それに、ほとんどの人が核戦争が起きた地球にわざわざ戻るという設定もありえない。放射能に汚染された地球に戻るなんて、わざわざ死にに行くようなものだ。設定についても、科学的なリアリティはほとんどないし、あまりにも荒唐無稽なストーリーだけれど(このあたりは本人も認めていて、本人いわく、この作品はSFではなく純粋なファンタジーということらしい)、独特な雰囲気のある作品であることだけは間違いない。



LET'S ALL KILL CONSTANCE  16/05/29 更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の舞台は1960年のロサンゼルス。ミステリー作家である主人公のもとに、以前ハリウッドで女優として活躍したコンスタンスが訪ねてくる。コンスタンスは、2冊の電話帳を主人公に見せ、これは「死者のリスト」であると言う。名前が丸で囲まれている人間はもうじき死ぬ運命にあり、自分の名前も丸で囲まれていると言い、そのリストを置いて姿を消してしまう。コンスタンスのことを心配する主人公は、友人のクラムリーらとともに、リストに記載されている人を順番に訪ねていくが、その直後にその人たちが次々に死亡してしまう。

 とにかくわかりづらい。状況や設定に関する説明がほとんどないし、登場人物の経歴や背景などもまったくと言っていいほど書かれていない。調べてみると、この作品は三部作のうちの完結編という位置付けらしいが、そうだとしても、最低限の説明は必要だろう。いきなり主人公の友人が登場して調査に協力したりするのだが、その登場の仕方が本当に唐突で、読んでいて「え、コイツはだれなの? どういう必然性があるの?」みたいな感じで戸惑ってしまう。
 ストーリーについても、わかったようなわからないようなモヤモヤした感じで、読後感もよろしくない。ミステリーでもないし、ホラーというほど怖くもないし、ファンタジーとも違うしで、どうにもうまく説明できない作品だけれど、とにかくわかりにくい作品だということだけは断言できる。


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