JANE AUSTEN 




 イギリス女性の結婚をテーマとした小説で有名な、イギリスの女性作家。
 1775年にイングランドのハンプシャーで生まれた作者は、8人兄弟の次女として幸せな子供時代を送る。幼い頃から文学に親しみ、14歳のときには早くも最初の小説を書くが、これは身内で楽しむことだけを目的に書かれたもので、正式に発表されることはなかった。その後しばらくは創作活動から遠ざかるが、1811年に「Sense and Sensibility」を出版して文壇にデビューする。その後も何冊かの作品を出版するが、すべて匿名で発表されたため、世間から「ジェーン・オースティン」という名前が認知されることはなかった。若いときにはいくつかの恋もしたようだが、結局最後まで独身を通し、1817年に病気のため死亡する。
 作者の書く文章には難しい単語はほとんど出てこないのだが、とにかく表現が回りくどいため、非常に読みにくい。しかし、若い女性の結婚という非常に通俗的なテーマを扱っているため、文章の難解さの割にはそれなりに楽しく読める。




SENSE AND SENSIBILITY  11/06/25更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の主人公は、ダッシュウッド家の長女で19歳のエリナーと、次女で16歳のマリアン。姉のエリナーは思慮深く、常に周囲の人を思いやる優しい性格だが、妹のマリアンは奔放で勝気な性格だった。エリナーは誠実で物静かなエドワードに思いを寄せ、マリアンは社交的で華やかなウィロビーと恋に落ちる。しかし、ウィロビーは資産家の娘と婚約してしまい、マリアンは激しいショックを受ける。一方のエリナーも、エドワードが他の女性と密かに婚約していたことを知って思い悩む。

 この作品も、それぞれのキャラクターがわかりやすく設定されていて、楽しく読むことができた。思慮深いエリナーの相手役が誠実なエドワードで、奔放なマリアンの相手役が社交家のウィロビーという、これ以上ないわかりやすさだ。おしゃべりでおせっかい焼きのジェニングス夫人もいい味を出している。
 しかし、エリナーが19歳とは思えないくらいに老成していて、さすがにこれはどうかと思う。あまりにいい人すぎて、逆に魅力を感じない。相手役のエドワードもなんだか煮え切らない感じで、この二人の恋愛にはどうにも感情移入しにくい。それに、「Pride and Prejudice」の設定とよく似ているというのも問題だ。「Pride and Prejudice」が面白かっただけに、それと比べるとどうしても評価がイマイチになってしまう。ただ、そのあたりを気にせずに読めば、普通に楽しめる作品だとは思う。



PRIDE AND PREJUDICE  11/02/26更新

 読み易さ 
 面白さ    そこそこお勧め

5人姉妹の次女のエリザベスは、娘たちの結婚に躍起になる母親と、自分の趣味にふけるマイペースの父親とともに、イングランドの田舎町で静かな生活を送っていた。そんなある日のこと、近所に資産家の独身男性ビングリーが引っ越してくる。母親は早速娘たちをビングリーに引き合わせるが、ビングリーは従順で美しい長女のジェーンとたちまち親しくなる。エリザベスは、ビングリーの友人であるダーシーと知り合うが、ダーシーの高慢で横柄な態度に激しい反感を抱く。そんなエリザベスの前に、遠縁の親戚にあたるコリンズという青年牧師が現れる。コリンズが結婚相手を探していることを知った母親は、なんとかコリンズとエリザベスを結婚させようとするが、エリザベスはコリンズのプロポーズをきっぱりと断ってしまう。ダーシーは、そんなエリザベスに対して密かな恋心を抱くようになる。

 非常に面白かった。「エマ」を読んだときにも感じたことだが、オースティン氏はとにかくキャラクター設定が巧みだ。主人公のエリザベスは勝気、姉のジェーンはお人好し、ジェーンの恋人のビングリーは陽気な社交家、ビングリーの友人のダーシーは無愛想で高慢という、なんとも類型的だがわかりやすい設定で、読んでいて楽しい。ストーリー展開にしても、特に何が起きるわけでもないのに、つい先へ先へとページをめくってしまう面白さがある。あのサマセット・モームも「世界の十大小説」にこの作品を挙げ、「大した事件が起こるわけでもないのに、ページをめくる手が止まらない」と絶賛しているが、まさにその通りだ。
 結局のところ、面白い小説とはこういう作品のことを言うのだろう。高尚で崇高なテーマなど特になくても、読んでいるときは夢中になれて、読み終わったあとに何かが残るような、そんな作品が本当に面白い小説なのだろう。そういう意味で、この作品は非常に優れた小説だと思う。(もっと詳しい感想はこちら



EMMA    11/02/12 更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の主人公は、聡明で美しい21歳のエマ。裕福な家で父親と二人で暮らすエマは、恋のキューピッド役を気取り、友人のハリエットの結婚相手を探すことにする。エマは、フィリップという牧師をハリエットの結婚相手として選び、二人をくっつけようと画策するが、その間にロバートという農夫がハリエットにプロポーズをしてしまう。ロバートの身分を卑しいと考えるエマは、このプロポーズを断ってフィリップを選ぶべきだとハリエットを説得し、ハリエットもこれに素直に従う。しかし、フィリップが好きなのは実はエマだということがわかり、エマは困惑する。以前からの友人であるナイトリーは、そんなエマをたしなめる。以前からナイトリーを尊敬し、信頼していたエマだったが、自分は間違っていないと意地になり、またハリエットの結婚相手を探そうとする。

 1814年に発表されたこの作品は、難しい単語はほとんどないが、文章が回りくどくてとにかく読みにくい。読みにくいけれど、ストーリーとしてはなかなか面白かった。少しばかり高慢なエマ、病的なまでに心配性の父親、盲目的なまでにエマに従順なハリエット、マシンガンのように話しまくるミス・ベイツなどなど、とにかく個性的なキャラクターばかりで、それだけでも読んでいて楽しい。個人的には、バカみたいに心配性の父親のキャラクターが面白かった。それにしても、17世紀のイギリス上流階級の生活は優雅だ。ほとんど仕事もせずにいつもパーティーを開き、恋愛のことばかり考えながら生きていけるのだから、本当に優雅な生活だと思う。
 それはともかく、この作品のすごいところは、17世紀という古さをほとんど感じさせないということだ。文章を読みやすくして、細かい設定を現代風に変えるだけで、いまの若い人たちでも充分に楽しめる娯楽小説になると思う。この時代にこれだけの娯楽小説が存在したというのは、さすがにイギリスだと感じる。



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