KINGSLEY AMIS 




  ブッカー賞を受賞したイギリスの作家。
  1922年にロンドンで生まれた作者は、ケンブリッジのセント・ジョンズ・カレッジに入学するが、在学中に第二次世界大戦が開戦し、イギリス軍の兵士として従軍する。終戦後は大学に戻って学業を続け、卒業後は英語の講師として大学で教鞭をとる。それと並行して詩や小説の執筆を始め、1954年に初めての長編小説となる「Luck Jim」を発表する。この作品で高い評価を得た作者は、その後も創作を続け、1986年に発表した「The Old Devils」でブッカー賞を受賞する。その後も1995年に病死するまで精力的に創作活動を続け、ミステリーやSF作品など多くの作品を執筆した。
  元英語教師だけあって、文章は非常に難しい。文章に出てくる単語のレベルは高いし、状況説明も少ないしで、ストーリー展開を追うことすら苦労する。日本ではあまり有名な作家ではないけれど、本国イギリスでの評価は高いようなので、興味があればどうぞ。




LUCK JIM  15/01/11更新

 読み易さ 
 面白さ   

イギリスの大学に非常勤講師として勤務するディクソン・ジェームズは、来年も大学に残るため、主任教授のウェルチになにかとゴマをする。しかし、つまらない失敗ばかりしてしまい、同僚のマーガレットとの交際も思うようにいかない。そんなある日のこと、ウェルチ教授の息子である画家のバートランドが彼女のクリスティーヌを連れて家に帰ってくる。最初からバートランドとウマが合わないジムは、ことあるごとにバートランドと衝突してしまう。さらに、バートランドに内緒でクリスティーヌとデートをしたことがバレてしまい、殴り合いのケンカになる。目にアザを作ったまま大事な講義に臨んだジムだったが、緊張をほぐすために飲んだ酒のせいで、とんでもない失態をおかしてしまう。

 ちょっとしたコメディともいえる作品で、文章の難しさはともかく、ストーリー展開については気軽に読むことができる。ジムがやらかす失敗というのは、どれも他愛ないものではあるけれど、酒に酔って寝タバコでシーツを燃やしてしまうところなんかは、「姑息にごまかしたりせず、素直に謝ればいいのに」と思ってしまう。愛すべきキャラクターではあるけれど、「まったく、いい大人なんだから」と思ってしまうような部分も少なくない。最後はハッピーエンドで終わるので安心して読めるが、ジムの敵役であるバートランドと、ジムの秘密をバラしてしまう同僚のジョンには、もっと痛い目を見せてほしかった。



ONE FAT ENGLISHMAN  15/01/11更新

 読み易さ 
 面白さ   

出版社に勤務するイギリス人のロジャーは、アメリカの大学に呼ばれて講義をすることになる。ペンシルバニアでさまざまな人と知り合いになるが、イギリス人であることを茶化されると途端に激怒したり、すぐに偉そうに説教を始めたり、すきあらば女を口説こうとするなど、周囲の人間から煙たがられるような行動をとってしまう。そんなロジャーがアメリカを訪れた本当の目的は、ヘレンという美しい女性を誘惑することだった。しかし、メイチャーという生意気な大学生により、思いがけない仕打ちを受けてしまうことになる。

 とにかく状況説明が少なくて、イギリス人のロジャーがなぜアメリカに来たのか、本業の仕事はいつしているのか、ヘレンとはどこで知り合ったのかなどなど、わからないことだらけだ。自分の貧弱な読解力のせいで、こうしたことをすべて読み落としているのかもしれないが、それにしても読者に対して不親切な作品だと思う。中でも一番わからないのが、なぜデブのロジャーが、ヘレンのような美しい女性と関係を持つことができるのかということだ。デブというだけでなく、理屈っぽくて短気で頑固ときては、何もいいところがない。
 ロジャーも鼻もちならないけれど、それ以上に鼻もちならないのが、ロジャーの敵役として登場するメイチャーだ。まだ学生の分際で、立派な社会人であるロジャーのことをバカにするとはどういうことだ。などと、ロジャーの肩を持ちたくなるくらい生意気なメイチャーが素敵だ。



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