独習のリスニング 


読む、聴く、話す、書くという英語の4技能のうち、「話す」技能を最重要視している人が圧倒的に多い、というのが自分の印象ですが、そういう人こそリスニング学習に力を注ぐべきです。リスニング能力とスピーキング能力は表裏一体の関係にあります。つまり、聴き取り能力の高い人は総じて会話能力も高いということです。

「急がば回れ」の諺通り、話せるようになりたければ、まずは聴くことです。

 リスニング学習の素材

リスニング学習の素材としては、以下のものが考えられるでしょう。

 NHKテレビ、NHKラジオの英会話番組
 ラジオの英語放送(AFN VOA FM放送等)
 テレビの英語ニュース番組 
 英語ドラマ、映画
 各種CD、テープ教材

現在は各メディアが発達したおかげで、実に様々なリスニング素材が溢れています。まずは自分の興味のあるものから試して見るのがいいと思います。

 NHKテレビ、NHKラジオの英会話番組

何から始めればいいのかよくわからない、という人には自信を持って「NHKテレビ、NHKラジオの英会話番組」をお勧めします。

様々なレベルに対応した番組がありますから、自分に合った番組を自分で選択できます。書店の規模に関わらず、NHKの英会話番組のテキストは必ず置いてあります。テキストとは別に番組を録音したテープあるいはCDも売っていますが、リアルタイムで利用できないという方でもタイマーを使って録音すれば済みますから、わざわざ買う必要はありません。テキストは1冊1月分で350円程度ですから、コストパフォーマンス的に見ても非常に優れています。お勧めは、ラジオの「英会話入門」と「英会話」です。前者は雰囲気が明るく、聴いていて楽しいです。後者は前者と比べてレベル的には難しいですが、それなりの価値は充分にあります。

両番組とも「英会話」と銘打っていますが、スピーキング教材としてはもちろん、リスニング教材としても充分使えます。前述した通り、リスニング能力とスピーキング能力とは表裏一体の関係にありますから、どちらにも効果的です。

ラジオ番組は毎日放送されていますが、それに比べてテレビ番組は週に1回の放送です。続ける意志があるのなら、絶対的にラジオの方をお勧めします。ただ、テレビは視覚的に訴えてくるので、ラジオと比べると圧倒的に親しみやすいのは事実です。

まずはテレビ番組で勉強を始めて、物足りないなと思ったらラジオ番組を聴いてみるのがいいでしょう。

英語学習の動機付けとしてテレビの英会話番組を選択するのは大正解です。いずれにしても、NHKの英会話番組はよくできていると思います。やって損はないでしょう。

かく言う自分は続けてNHKの番組を聴いて勉強したことはありません。毎日聴き続けるといのがどうにも面倒くさい。ただ、こんな自分でもたまに番組を聴くと、本当に勉強になると実感します。毎日聴き続けることができれば理想的ですが、毎日続けなければいけないという意識がプレッシャーとなってしまっては、かえって逆効果にもなりかねません。勉強のペースメーカーとして気楽に付き合っていくうちに、自然と身に付いてくる、という姿勢で臨むといいと思います。


 ラジオの英語放送(AFN VOA FM放送等)

ラジオの長所としては、映像がない分音声に集中できる、ということでしょうか。逆に短所としては、映像がない分退屈だということです。

首都圏に住んでいる方であればAFNを聴くことができますし、短波放送を受信できるラジオを持っている方なら VOA、BBC放送を聴くことができます。ただし、AFNは毎時5分間放送されるニュース以外はほとんど音楽番組ですし、短波放送は放送時間帯が限られていますから、気が向いた時にスイッチを入れればいつでも英語を聴くことができる、という訳にはいきません。ラジオの受信状態によっては、音声的に問題がある場合もあるでしょう。

いずれにしろ、現代は様々なメディアがありますから、リスニング教材としてのラジオに固執する必要性はあまりないでしょう。同じニュースを聴くのなら、映像があった方が理解しやすいですし、楽しいです。


 テレビの英語ニュース番組

テレビのニュース番組ですが、これには様々な番組があります。

NHKならば19時と21時のニュースは副音声が英語で放送されていますし、民放なら、CBS、BBCニュースを聴くことができます。ただ、NHKニュースの副音声放送の場合、あらかじめ原稿が用意されているニュースはいいのですが、現場からのリポート等の場合は基本的に同時通訳で話されるため、妙に間が空いたり、まとめの部分ではえらく早口になったりと、あまりリズムがよくありません。英語放送の日本語同時通訳を聴くのと同じような違和感があります。それに、音声は英語でも映像は当然日本語ですから、つい文字を追いかけてしまって、英語音声だけに集中することが難しいという欠点もあります。

もし衛星放送を受信できる環境にあれば、CNN、ABCニュース等も聴くことができます。さらにケーブルテレビに加入すれば、24時間英語漬けになることも可能です。

自分はリスニングの素材として、衛星放送のCNN、BBCニュースを利用しています。放送の時間帯としては、早朝あるいは夕方などあるようですが、自分の場合、リアルタイムで見ることができる早朝の番組を利用しています。

ビデオに録画して見るという手もありますが、ビデオだとどうしても緊張感がなくなるので(わからない所はまた巻き戻して見ればいいや、なんて思うとどうしても集中力が切れてしまいます)必ずリアルタイムで見るようにしています。

CNNはアメリカ英語、BBCはイギリス英語なわけですが、同じ英語でも聴いてみるとかなり違います。CNNは、全体的に何か音楽を聴いているような滑らかな印象を受けますが、対するBBCは一語一語はっきりと発音するので、かなりゴツゴツとした印象です。どちらが理解しやすいかと言えば、どちらの英語をより多く聴いているかによるでしょう。とりあえず、どちらも理解できるようにしておくのが理想でしょう。

 英語ドラマ、映画

これはもう選り取り見取りです。テレビだけでも充分過ぎるほどですが、ビデオも選択肢に加えると、まさに好きな時に好きなだけ英語を聴くことができます。しかし、初心者の方にはお勧めできません。リスニングの素材としてはあまりにも難しいからです。

ペーパーバックを読む際に、自分が一番難しいと感じるのは会話の部分です。省略した言いまわしが多く、教科書の英語のように文法通りにキッチリとした文章は、会話にはあまり使われないからです。ドラマや映画となれば100%会話で成り立っているわけですから、読んで理解できないものが、聴いて理解できるはずがありません。しかもかなり早口で、ニュースのように明瞭に発音されるわけでもありません。

これからリスニングに挑戦しようという方は、いきなりドラマや映画に挑戦しない方が賢明です。自信をなくすこと請け合いです。

自分もドラマや映画の英語には全くついていけません。リスニング能力が低いのはもちろんですが、ネイティブの会話に対する露出というものが圧倒的に不足していることが最大の理由だと思います。こういった英語は教科書で学ぶ英語とは異質なものですし、実体験を伴わなければ習得は非常に困難でしょう。微妙な言いまわしやニュアンス、そこに隠された意味を理解する、ということは、やはり日本国内の独学だけで到達するには不可能に近い非常に高い壁だと思わざるを得ません。この辺りが、国内独学者にとっての高くて大きな壁であることは間違いないと思います。

 各種CD、テープ教材

本当に今は色んなリスニング教材があります。選択肢の幅が広いというのはもちろん歓迎すべきことなのですが、実際にリスニング教材を選ぶ際にはちょっと困ってしまいます。例えば単語帳や文法書などは実際に自分の目で内容を確かめてから購入することができますが、リスニング教材の場合、実際にCDやテープを聴いてから購入する、ということが難しいからです。その結果、広告量の多い、知名度の高い教材を安易に購入してしまいがちですが、これはちょっと危険です。

「たった半年でTOEICのスコアが100点もアップ!」とか「いつの間にか映画が字幕なしで楽しめるようになりました!」などという利用者の声を広告に使っている教材をよく目にしますが、これを鵜呑みにしてはいけません。もちろん、その教材に真剣に取り組んで思い通りの成果をあげた人も少なからずいるとは思います。しかし、その教材を購入しただけで広告通りの成果が約束される、という考え方では必ず後悔します。

恥ずかしながら、自分も派手な広告に惹かれて深く考えずに教材を購入したことがありますが、当然のごとく後悔しました。

最近はこういった教材の内容を評価して紹介している本も売られていますので、自分の欲しいと思う教材を最初にこういう本で事前に調べてから購入すれば、後悔することも少ないでしょう。

ただ、これまでに挙げた各種の素材を自分なりに工夫して組み合わせれば、こういった教材以上の学習効果は充分に期待できると思います。実際に何度か痛い目を見ている自分としては、「安易に広告を信じるべからず」と言いたいです。

 精聴か多聴か

集中して聴く精聴と、大量の英語を聞き流す多聴とでは、どちらが効果があるのでしょうか。

自分としては圧倒的に精聴の方が効果的だと思います。たとえ1日3時間英語を聞いたとしても、ただ聞き流しているだけであれば、たとえ1日10分だけでも集中して聴いた方がリスニング能力の伸びは速いと思います。

子供は耳から言葉を覚えるのだから、外国語を学ぶ場合もこれと同じように耳から覚えるのが効果的である、だからとにかく大量に聴くことが一番大事である、などともっともらしいことを言う人もいますが、こんなことを信じてはいけません。この理論が通用するのは、まだ言語概念が完成されていない乳幼児期に限られます。しっかりと母国語の概念が形成されてしまっている大人の場合、どうしても脳は日本語を介して理解しようとするので、意味のわからない英語をいくら大量に聴いたところで何の意味もありません。

まず、英語の構造というものをしっかりと理解することです。そして短時間でも集中して聴くこと、こうして英語の耳を作ってからであれば、大量の英語のシャワーを浴びるということは、充分に効果のあることだと思います。





 リスニング独習の心得

 英会話能力を伸ばしたければ、まずはリスニング能力を伸ばすべし
 派手な広告を鵜呑みにして安易に教材を購入すべからじ
 まずは精聴、それから多聴と心得るべし


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